ではそのⅠから話します。
身体のたんぱく質は食事(栄養たんぱく質)を原料として、新陳代謝が行われている。身体のたんぱく質とは細胞の非コラーゲンたんぱく質(2/3)と細胞間物質のコラーゲンたんぱく質(1/3)の2種類から成り立っている(図1)。
この2種類の身体たんぱく質と栄養たんぱく質の入れ換えは、どのように行われるのだろうか?酸素が肺で吸収され、栄養たんぱく質は小腸で吸収される。それらは血管(コラーゲンのパイプ)の中を血液(コラーゲン豊かな環境の骨髄で造られる)の流れに乗って、最後は細胞に達する。しかし血管は細胞の中まで入り込めない(図2)。
細胞を島に例えると、島を取り囲む細胞間物質(コラーゲン)は海。海の状態が正常でないと、島(細胞)に栄養や酸素は無事に届かなくなる(図3)。このように血管、血液、細胞間物質はすべてコラーゲンに深く係わっている。ゆえにコラーゲンに元気がなくなると、細胞に無事に栄養や酸素が届かず、身体たんぱく質の新陳代謝が低下して老化が進行してしまう。
そこで身体にとって大切なコラーゲンの衰えを阻止するための栄養について考えることにする。
その前に、まず栄養の歴史から振り返ってみましょう。人類は過去から現在まで獲物を捕らえれば皮、内臓、骨、腱など、コラーゲン豊かな部位を取り除き、筋肉(非コラーゲン)を主とする一般のたんぱく源を摂取してきた。また現代栄養学もコラーゲンは無用のたんぱく質と位置付け、栄養計算から切り捨てた。
(図4)のように0歳から20歳ころまでは、人々は一般たんぱく質の摂取だけでコラーゲンの摂取はなくても、十分に若さを保っている。しかしこの時期を過ぎた頃より、まるで転がり落ちるように身体のコラーゲンの衰えと平行して老化が進行している。このような状況下で、老化の原因はコラーゲン摂取を無視した食生活であったとは、誰もが考えにくい。つまり、太古の昔より人々は20歳を過ぎた頃から急激に老化が進むことを運命と締めてしまっていた。
しかし、この世の中に原因をなくして結果のみが生じる真理はどこにも存在しない。私は必ず原因があって結果が生じると考え、急降下の老化の原因の究明実験に着手した。その実験内容とは、人年齢で60歳程度に老化させたラットを用意して、コラーゲンを与えたラットと一般たんぱく質(非コラーゲン)を与えたラットでは、どちらが若返るかを観察した。実験結果は図5に示すようにコラーゲンを与えたグループは60歳から20歳へと若返った。一方、一般たんぱく質(非コラーゲン)を与えた方は、60歳のままだった。
私はこの実験で「老化防止にはコラーゲンが大切な要因である」ことを証明した。この実験結果は、これまで人類が始まって以来、誰も気付かなかった大きな発見である。
ところが(図6)・(図7)に示すように、我々は日常的にコラーゲンが乏しい食事に片寄っている。繰り返しますが、コラーゲンたっぷりの食事(図8)は、転がり落ちる老化防止に大切な要因だということなのです。